医療・介護現場の人材育成はOJTが不可欠です。しかし、人員不足の現場では、基本的なOJT指導法を学ぶこともないままOJT指導者を任され、手探りで指導をしているケースが多くあります。このような状況では、OJTの成果はあまり上がらず、OJT指導者にとって新入職員の指導が大きなストレスとなりメンタル不調になるケースもあります。また、同じ組織でも指導者によって指導の内容や方法が違うことにより若手職員が不安や不満を感じ、メンタル不調や離職するケースもあります。そのため、新入職員を育成するためのOJT指導者研修は、新入職員の受け入れ準備としてとても重要です。
OJT指導者研修で押さえておきたいポイントについてシリーズで書いていきたいと思います。今回は「リスク回避につながる新入職員とのコミュニケーション」です。
前回、「報・連・相」は組織のコミュニケーションの根幹で、医療・介護現場では、チームワークやリスクマネジメントにおいて重要な要素と書きました。「新入職員に資料の準備を頼んだけど、自分と思っていたものと全く違う・・・」「次のケアを始める前に報告してほしかったのに・・・」 ちゃんと指示を出したはずなのに、なぜか新入職員に伝わらないということがあります。このようなアクシデント・インシデントを防ぐためには、報・連・相が『形式的なもの』でなく、『リスク回避につながるコミュニケーション』にすることです。
OJT指導者に求められる『リスク回避につながるコミュニケーション』のポイントは、次の3つです。
1.聞く
OJT指導者は、冷静にしっかり新入職員の話を聞きましょう。新入職員の話の中から問題発生の原因と解決の糸口が見えてきます。
2.伝える
新入職員が仕事のイメージができるような具体性とわかりやすさが大きなポイントです。OJT指導者は、「報告すべき内容やタイミングについての要望」「自分の考え」「新入職員にやってほしいこと」を具体的にわかりやすく伝えましょう。この際に、やってはいけないことを伝えることも大切です。
3.確認する
最後に必ず、OJT指導者からスタッフに質問を投げかけ、指示の内容を確認しましょう。OJT指導者と新入職員との認識のずれをなくすことがインシデント・アクシデントを防ぐためには、これがとても大事なことなのです。
OJT指導者が上記の3つの要素を心に留めながら新入職員の指導を行うことでリスクマネジメントの効果が見られます。
(株式会社Leap 研修事業部長 関弘子)
Leapの研修
●「Leap」では組織と個々のパフォーマンスが活性化するための人材育成をめざし、医療・介護・福祉現場で必要な「マインド」と「スキル」の向上めざした研修を行います。
●机上での学びでなく、実践できる学びを重視し、現場経験が豊富な講師が事例をもとに参加型の研修を通して、自ら考え動ける人材の育成をめざします。