Mar 25

新入職員のOJT育成には管理職によるOJTの土台づくりが重要

慢性的な人員不足の医療・介護現場では、新入職員ができる限り早く戦力になってほしいと期待するものです。そして、戦力として育てるにはOJTが不可欠で、その重要性が見直されてきています。しかし、OJTの指導体制を作ってみたものの、うまく機能していないことが多くあります。

【OJTがうまく機能しないケースとその弊害】
●先輩スタッフの見様見真似で覚えさせる
OJTとは、上司や先輩が職務を通して、職務に必要な態度や価値観、知識、技能、などを “意図的” “計画的”“継続的”に取り組む育成・指導の活動です。現場に放り込んで仕事のコツや要領を先輩スタッフの見様見真似で覚えさせるという「無計画」「行き当たりばったり」の指導は、OJTとはいえません。更に、その日の指導者によって指導の内容や方法が違うとことで新入職員の混乱・不安・不満につながります。

●現場のOJT指導者に任せっきりになっている
日常業務のあらゆる場面がOJTの機会です。OJT指導者もシフトで動いているので、新入職員の一人のOJT指導者が担うには限界があります。OJT指導者は「できるだけ早く戦力になるように新入職員を育てる」という責任感を一人で背負うことが大きなストレスとなります。

前回まで、新入職員を育成するためのOJT指導者研修は、新入職員の受け入れ準備としてとても重要だと書いてきました。しかし、OJT指導者を育成するだけでは、OJTはうまく機能しません。新入職員のOJTがうまく機能するためには管理職によるOJTの土台づくりがとても重要です。

新入職員のOJTをうまく機能させる土台作りのポイントは以下の2つです。

1.部署ぐるみでOJTに取り組む職場風土をつくる
日常業務のあらゆる場面がOJTの機会です。まずは、どのような人材を育てたいのかという育成方針を明確にし、部署で共有しましょう。そして、新入職員のOJTをOJT指導者に任せっきりにせず、育成計画や進捗状を部署全体で共有する機会を持ちましょう。部署全体で同じ方向で指導することは、指導の違いによる新入職員の混乱や不安、不満がなくなります。

2.OJT指導者の支援体制をつくる
管理職は、スタッフ全員に日常業務のあらゆる場面がOJTの機会であることを伝えましょう。そして、OJT指導者とそれ例外のスタッフとの連携体制を整えましょう。また、管理職はOJT指導者に任せっきりにならず、進捗状況を確認し助言したり、OJT指導者が困った時に相談できる関係をつくることが大切です。

管理職が上記の2つのポイントを踏まえ、OJT指導者を支援することが新入職員のOJTをうまく機能させることにつながります。

(株式会社Leap 研修事業部長 関弘子)

Leapの研修
●「Leap」では組織と個々のパフォーマンスが活性化するための人材育成をめざし、医療・介護・福祉現場で必要な「マインド」と「スキル」の向上めざした研修を行います。
●机上での学びでなく、実践できる学びを重視し、現場経験が豊富な講師が事例をもとに参加型の研修を通して、自ら考え動ける人材の育成をめざします。